再発を防ぐ
「精度の高い根管治療」
根管治療は、重度の虫歯や歯周病などで細菌に侵された根管内の神経や病巣を除去する治療法です。しかし、根管の形態は患者様ごとに異なり、目視では確認できない部分もあるため、非常に高度な技術が求められます。
また、根管治療で細菌を完全に除去できなかったり、治療後に適切な被せ物をしない場合、再発を繰り返すことがあり、再発後の治療は成功率が低下することが分かっています。そのため当院では、「再発させない」をコンセプトに、精密な根管治療を行い、患者様に安心して治療を受けていただける環境を整えています。
根管治療を成功に導く
「精密治療」
20倍近くの高倍率顕微鏡
「マイクロスコープ」
根管治療では歯の内側を治療しますが、その部分はとても小さく狭いため、肉眼で正確に見ることは難しいです。一般的にはルーペ(拡大鏡)が使われますが、倍率が十分ではありません。当院では、より高精度な治療を実現するために、歯科用顕微鏡「マイクロスコープ」を導入しています。ルーペが約4倍程度の拡大に対し、マイクロスコープは最大20倍まで拡大することができます。画像は、肉眼とマイクロスコープによる視野の比較です。マイクロスコープの優れた性能をお分かりいただけるかと思います。
※部位によっては保険適用外となる場合があり、台数にも限りがございます。ご希望の方は事前にご相談ください。
肉眼で見たとき

マイクロスコープ使用時

3次元で根管の位置を把握する「CT装置」
一般的なレントゲンは2次元(平面)の画像しか撮影できませんが、CT装置は顎の状態を3次元(立体)で撮影することができます。CT装置を使うことで診断の精度が大幅に向上し、レントゲンでは確認できなかった部分まで詳しく見ることができるのが大きな強みです。
以下は、CT画像とレントゲン画像です。このように、レントゲンだけでは病巣を見つけられなかった可能性があります。「見つからない=治療ができない」ということになり、それは根管治療の再発リスクが高まることを意味します。
CT画像

レントゲン画像

複雑な根管にも届く
「ニッケルチタンファイル」
ファイルとは、根管内をきれいに整えるためのヤスリのような器具で、「ニッケルチタン製」と「ステンレス製」の2種類があります。当院では柔軟性に優れたニッケルチタン製ファイルを使用しており、複雑な形状の根管でも隅々までしっかり清掃することができます。
根管の深さを正確に計測する
「根管長測定器」
根管治療では、根管内の深さを正確に把握することが重要です。当院では、その深さを測定するために「根管長測定器」を使用しています。この機器は、根尖(根の先端)までの距離を非常に正確に計測できる優れた装置です。
「無菌」状態で根管治療に
取り組む
根管治療中に細菌が入り込むと、痛みが再発することがあります。この問題を防ぐためには、治療中に無菌状態を保つことが非常に重要です。当院で行っている取り組みをご紹介します。
取り組み1
唾液を侵入させない「ラバーダム防湿」
※自費診療
唾液には多くの細菌が含まれており、根管内に唾液が入ってしまうと痛みが再発する可能性があります。そのため、「ラバーダム」というゴム製のシートを使用し、治療部位への唾液の侵入を防ぎます。
取り組み2
根管内を消毒する「EDTA」の利用
EDTAは、根管内の削りかすを溶かして殺菌する薬剤です。ファイルで根管を削ると削りかすが出てきますが、その削りかすには細菌が含まれているため、きれいに取り除く必要があります。EDTAを用いることで根管内が無菌状態になり、細菌が増殖するリスクを軽減します。
取り組み3
殺菌・組織再生効果のある「MTAセメント」
※自費診療
神経を取り除いた後は、根管内を隙間なく埋める「根管充填」を行います。一般的には「ガッタパーチャ」というゴム状の素材が使われますが、隙間ができやすいという欠点があります。当院では、隙間が生まれにくく、根管内を殺菌する効果がある「MTAセメント」を使用しています。さらに、MTAセメントは歯の組織の再生を促進し、歯を丈夫にする効果もあります。
「難症例」も
おまかせください
できるだけ歯を残すための「歯根端切除術」
一部の症例では抜歯が必要な場合がありますが、できるだけ歯を残すために、当院では「歯根端切除術」を行っています。この治療法は、歯根の先端に溜まった「膿の袋」を外科的に取り除くものです。もし他院で「抜歯しかない」と言われた場合でも、一度当院にご相談ください。抜歯を回避できる可能性があります。

治療後の歯を綺麗に長持ちさせる「ファイバーコア」
根管治療後は、「コア」と呼ばれる支台を入れ、その上に被せ物をします。当院では、審美性と耐久性に優れた「ファイバーコア」を使用しています。
樹脂素材でつくられたファイバーコア
ファイバーコアは「グラスファイバー」という樹脂素材でつくられたものです。耐久性に加え弾力性にも優れており、天然歯の「象牙質」に近いと評価されています。

審美性について
こちらはコアに光を当てた画像で、「ファイバーコア」と「金属コア」です。ファイバーコアは光透過性があり、自然の歯に近い見え方をします
ファイバーコア

金属コア

耐久性について

従来の金属コアは固くてしなりにくいため、強い衝撃で折れることがありましたが、ファイバーコアはしなる特性があります。そのため、歯ぎしりの癖がある方や接触プレーの多いスポーツをされている方には、ファイバーコアをおすすめしています。
根管治療は「初回」が大事です
根管治療は、再治療を繰り返すと成功率が下がり、抜歯のリスクが高くなるため、一度で完治することが理想です。当院では、初回の治療を適切に行い、再発しない根管治療を目指しています。そして抜歯を回避し、患者様が自分の歯で快適に生活できるようサポートすることを最も大切にしています。
根管治療の主なリスクと
副作用について
01
再感染のリスク
根管内に細菌が残ったり、治療後の根管内に隙間があると、再感染が起こる可能性があります。この場合、追加の治療や再治療が必要になります。
02
歯の弱化
神経や血管が除去されるため、歯が脆くなりやすく、割れたり欠けたりするリスクが増えます。そのため、治療後は被せ物をすることが一般的です。
03
治療後の痛みや不快感
治療後に一時的な痛みや腫れが生じることがありますが、通常は数日以内に治まります。強い痛みが続く場合は再治療が必要になることがあります。
ファイバーコアのリスクと副作用について
- 破損の可能性がある
ファイバーコアは弾力性がありますが、強い力がかかると折れることがあります。特に噛み合わせが強い方や、適切にセットされていない場合、破損リスクが高くなります。
- 再治療の難しさ
ファイバーコアは歯に強固に接着されているため、再治療が必要な場合、歯に負担がかかることがあります。
- 歯の破折
ファイバーコアが適切に装着されていない場合や、歯の構造が弱い場合、歯の根が割れることがあります。根が割れると抜歯が必要になる可能性があります。
- 接着の失敗
ファイバーコアは接着剤で固定するため、接着が不完全だと外れる可能性があり、再治療が必要になることがあります。
- 変色のリスク
ファイバーコアは審美的に優れていますが、長期間使用すると接着剤や周囲の歯の変色により、見た目に問題が生じることがあります。