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セラミックの歯って割れることある?素材別の強度と割れる原因

「費用をかけてセラミックにしたのに、また割れてしまった……」——そんな経験や不安を抱えて相談に来られる方は、少なくありません。セラミックは天然歯に近い見た目と優れた耐久性を持つ素材ですが、すべてが同じわけではなく、素材の種類・噛み合わせの状態・製作精度によって、割れるリスクは大きく変わります。この記事では、素材ごとの強度の違いと、セラミックが割れる主な原因を整理したうえで、長持ちさせるために知っておくべきポイントをお伝えします。

セラミックは割れやすい?——「陶器だから弱い」は本当か

セラミックの「もろさ」の正体を理解する

「セラミック=陶器のように割れやすい」というイメージを持たれている方は多いと思います。この印象は、20年以上前の長石系ポーセレン(従来型の白いセラミック)が持つ特性に由来しています。長石系セラミックは審美性には優れていた一方で、曲げ強度が100MPa前後と金属と比べて低く、強い力が加わると欠けやすい素材でした。

しかし、現在の歯科では材料が大きく進化しています。セラミック材料は金属への焼き付け、陶材の分散強化、ガラスの結晶化、接着による歯質との一体化などの強化法が行われてきており、素材の弱点であった「もろさ」は技術の革新によって大幅に改善されています。

「割れやすい」が問題になるのは条件次第

セラミックは今も「脆性材料」であることに変わりはなく、金属のように大きく変形してから破断するのではなく、特定の荷重を超えると亀裂が一気に進む性質を持ちます。そのため、どの素材を・どの部位に・どのような噛み合わせで使うかが、耐久性を決める重要な要素です。

日本補綴歯科学会発行のガイドラインによると、セラミッククラウンがメタルボンドクラウン(陶材焼付鋳造冠)より有効であることを示す科学的根拠は少ないが、いくつかの臨床研究によって両者は同程度の生存率を有しており、審美性や高い患者満足度が得られることが報告されています。つまり、適切な素材選択と管理がなされれば、セラミックは金属と遜色ない長期成績が期待できます。

当院でもCTや光学スキャナー(iTero 5D)による精密な診断のもと、患者さまの噛み合わせや残存歯質の状態を詳細に把握したうえで、素材を選択しています。「陶器だから弱い」という一般論ではなく、お口の状態に合った素材選びが重要です。

【素材別比較】ジルコニア・e.max・陶材焼付メタルの強度と用途の違い

現在、歯科の審美修復で主に使われるセラミック素材は大きく3つに分類されます。それぞれの特性を正しく理解することが、割れるリスクを下げるための第一歩です。

3素材の強度と特徴を整理する

素材 曲げ強度の目安 主な適応部位 特徴
ジルコニア 900〜1,200 MPa以上 奥歯・ブリッジ・広範囲の修復 高強度・遮蔽性高め・金属フリー
e.max(二ケイ酸リチウムガラス) 400 MPa前後 前歯〜小臼歯・単冠 高い透明感・天然歯に近い色調
陶材焼付メタル(メタルボンド) 金属部が構造を支持 奥歯・ブリッジ・広範囲 強度は高いが表面陶材が欠けやすい

各素材の強みと注意点

ジルコニアは酸化ジルコニウムを主成分とするセラミックで、ジルコニアの曲げ強度は1,000 MPa前後と非常に高く、咬合力の強い奥歯やブリッジ(複数歯をつなぐ補綴物)にも安定して使用できます[1]。一方、特にポーセレンを表面に焼き付けた多層構造タイプは、外側の陶材(チッピング)が剥離するリスクがあります。ジルコニアではフレームワークの破折がほとんどみられなかったものの、前装部の破折が多く失敗率が高かったと報告されているケースもあり[2]、素材内部の構造設計が重要です。

e.max(オールセラミック)は二ケイ酸リチウムガラスを主成分とし、天然歯のエナメル質に近い透明感と審美性を持ちます。e.maxの強度は400 MPa前後と高く、従来のポーセレンセラミック(100 MPa前後)と比べて約4倍の硬さを持ちます[1]。前歯や小臼歯など審美性が重視される部位での使用に適していますが、歯ぎしりや強い咬合力がある方では割れのリスクが上がります。

陶材焼付メタル(メタルボンド)は金属のフレームに陶材(セラミック)を焼き付けた構造です。金属が骨格を担うため全体の強度は高い一方で、前装用陶材はケースによってはチッピングを引き起こす場合も見受けられます[2]。表面陶材が欠けた場合、中の金属が露出することがあり、再製作が必要になるケースもあります。

素材選択のポイント——「強いから正解」ではない

ジルコニアはその高い強度から「割れにくい素材」として知られていますが、素材自体が非常に硬いため、噛み合わせの力が支台歯(土台となる歯)に集中しやすい側面もあります。また、審美性を高めるために表面にポーセレンを焼き付けると、その部分が剥離するリスクが生じます。

一方、e.maxは前歯の審美修復において非常に優れた選択肢ですが、噛む力が強い奥歯への単独使用では、長期的なリスクが高まる場合があります。

当院では守尾院長の方針のもと、「どの素材が強いか」だけでなく、「このお口の状態に何が最適か」という視点で素材を提案しています。国内の信頼できる歯科技工士と連携して製作することで、設計精度の高い補綴物をお届けしています。

セラミックが割れる主な原因——噛み合わせ・歯ぎしり・素材選択の3軸で整理

原因①:噛み合わせのアンバランス

セラミックが割れる最も多い原因の一つが、噛み合わせの問題です。咬合(噛み合わせ)が適切でなければ、特定の歯に力が集中し、セラミックがそのストレスに耐えられなくなります。セラミック補綴装置は、補綴装置に過剰な応力集中がないよう、線角・点角のない、滑らかかつ均一な補綴スペースが得られるようなプレパレーションデザインが必要です。

噛み合わせが適切に調整されていれば、咬合力はお口全体に分散されます。しかし、補綴物の形態が合っていなかったり、対合歯(噛み合う歯)との関係が崩れていたりすると、セラミックへの局所的な力学的負担が増大します。

当院ではCTと光学スキャナー(iTero 5D)を用いて精密な診断を行い、補綴物装着後の噛み合わせ確認を丁寧に実施しています。

原因②:歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)

睡眠時ブラキシズム(歯ぎしり)の発生率は成人では約5〜8%と報告されています[3]。自覚のない方も多く、気づかないまま長期にわたって強い力がセラミックに加わり続けるケースがあります。

ブラキシズムの原因論は歯科において最も多く議論されてきた問題の一つですが、睡眠中の大脳上位中枢の興奮に由来するもので、中枢性に引き起こされるものであることが明らかとなっています[3]。原因が複雑なため完全に制御することは難しいですが、ナイトガード(マウスピース)の装着によってセラミックへの負担を軽減することが可能です。

日本補綴歯科学会のガイドラインでも、ブラキシズムの有無・歯の咬耗および象牙質の露出の量を、強い咬合力の予測される症例の判断基準とするとしており[4]、補綴治療を行う前にブラキシズムの評価は欠かせません。

原因③:素材選択のミスマッチと製作精度

「とにかく審美性を優先したい」「費用を抑えて薄く作りたい」など、条件に見合わない素材を選ぶと、割れのリスクが高まります。たとえば、強い咬合力がかかる奥歯にe.maxを使う場合や、歯ぎしりがある方にポーセレンを薄く焼き付けた補綴物を使う場合などが該当します。

また、製作精度も重要な要素です。被せ物と歯の間に微細なすき間があると、力が一点に集中し、ひびが入りやすくなります。歯科技工士の技量や、使用する機器の精度が最終的な補綴物の品質に直結するのです。

当院では国内の信頼できる歯科技工士と密に連携し、光学スキャナー(iTero 5D)によるデジタルデータをもとに、適合精度の高い補綴物を製作しています。「なぜこれまで何度も割れてきたのか」を根本から見直す「原因療法」の考え方を大切にしており、症状の治療だけでなく、再発を防ぐための噛み合わせ管理を含めた包括的な対応を心がけています。

割れを防ぐために——セラミック治療後のセルフケアと定期管理

定期的なメンテナンスと噛み合わせチェックが重要

セラミックを長持ちさせるためには、治療後の定期的なメンテナンスが欠かせません。噛み合わせは、歯の移動・加齢・対合歯の摩耗などによって少しずつ変化します。定期チェックを受けることで、咬合のアンバランスを早期に発見し、セラミックにかかる過剰な力を事前に調整することが可能です。

また、歯周病が進行すると、セラミックを支える歯や歯周組織が弱くなり、破折リスクが高まります。セラミック治療と並行して、歯周環境を整えることも長期的な安定のために重要です。

ナイトガードによるブラキシズム対策

歯ぎしりや食いしばりが確認された場合には、ナイトガード(就寝時のマウスピース)の使用を検討します。これはセラミックへの過剰な力を緩衝するためのもので、補綴物の保護に有効なアプローチです。

なお、ナイトガードはセラミック治療後でも作製できますが、治療前に噛み合わせの評価をしたうえで、治療計画に組み込んでおくことが理想的です。

「割れた経験がある方」へ——原因の精査から始める

一度ではなく繰り返しセラミックが割れている方は、素材の問題ではなく、噛み合わせや咬合力の管理に課題が残っている可能性が高いと考えられます。

当院ではセカンドオピニオンにも対応しており、「なぜ割れたのか」を診断したうえで、患者さまに合った素材の提案と噛み合わせの調整を行います。JR八王子駅南口すぐの立地で、年中無休・夜間診療にも対応していますので、お仕事帰りのご相談も可能です。

まとめ

  • 「セラミック=割れやすい」は素材世代による誤解が多い。 現在のジルコニアやe.maxは強度・耐久性ともに大きく向上しており、適切な条件下では金属と同等以上の長期成績が期待できる。
  • 素材ごとに適した部位・条件が異なる。 ジルコニアは強度重視の奥歯・ブリッジ向き、e.maxは審美性重視の前歯・小臼歯向き、陶材焼付メタルは表面陶材の欠けに注意が必要。用途に合わない素材選択は割れリスクを高める。
  • 割れる主な原因は「噛み合わせのアンバランス」「歯ぎしり・食いしばり」「素材選択と製作精度のミスマッチ」の3軸。 成人の約5〜8%に睡眠時ブラキシズムが認められる(日本歯科医師会テーマパーク8020より)ことも念頭に置く必要がある。
  • 定期的な噛み合わせチェックとメンテナンスが長期安定の鍵。 治療後の咬合管理と歯周環境の維持が、セラミックの寿命を左右する。
  • 「なぜ割れたか」の原因精査から始めることが再発防止の基本。 症状だけを治療する対症療法ではなく、根本的な原因を特定する「原因療法」が重要。

「以前入れたセラミックが割れた」「どの素材が自分の歯に合っているか知りたい」という方は、まずは噛み合わせを含めたお口全体の状態を確認しましょう。八王子I’S歯科・矯正歯科(JR八王子駅南口すぐ)では、CT・光学スキャナー(iTero 5D)による精密診断と、国内の信頼できる歯科技工士との連携のもと、素材選択から噛み合わせ管理まで一貫してご対応しています。セカンドオピニオンも承っており、年中無休・夜間診療で受診しやすい環境を整えております。ご予約・ご相談は公式サイトよりお気軽にどうぞ。

はじめて受診される方は、初めての方へ(初診の流れ)もあわせてご覧ください。

参考文献

[1] J-STAGE(口腔病学会雑誌)「口腔病誌 2010, 77/1」jstage.jst.go.jp

[2] 日本補綴歯科学会「接着ブリッジのガイドライン 改訂版」hotetsu.com

[3] 日本歯科医師会 テーマパーク8020「歯ぎしり」jda.or.jp

[4] 日本補綴歯科学会「接着ブリッジのガイドライン 改訂版(CQ3:強い咬合力の予測される症例)」hotetsu.com

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