「抜いたほうがいい」と言われたけど、本当にそうなの?——JR八王子駅周辺に通う患者さんから、そんな声をよく耳にします。治療方針に納得できないまま椅子に座り続けるのは、体にも心にも負担がかかります。そこで今回は、歯科のセカンドオピニオンをテーマに、受ける前の心理的なハードルを整理するところから、具体的な手順・持参資料・費用の目安まで、一気通貫でお伝えします。
「セカンドオピニオンを求めていいのだろうか」その迷いは当然です
セカンドオピニオンは患者さんの正当な権利
セカンドオピニオンとは、現在かかっている歯科医師とは別の医師から「第二の意見」を聞くことです。日本歯科大学附属病院は、「主治医に診断や治療方針の説明を受けたがどうしたらいいか悩んでいるとき」「いくつかの治療方針を提示されているが迷っているとき」「他に治療法はないかと考えているとき」がセカンドオピニオンを活用する場面だと案内しています。
この考え方はすでに医療界で広く定着しており、今日では、ある病院で治療する場合でも他の専門病院での見解(セカンドオピニオン)を聴くことは、患者さんの当然の権利であると考えられています。「先生に失礼では?」と遠慮する必要はまったくありません。
セカンドオピニオンの活用状況
セカンドオピニオンに踏み出せない背景には、「主治医との関係が壊れそう」「費用と手間が心配」という気持ちがあります。しかし、受けることへの関心は確実に高まっており、受療行動調査によると、セカンドオピニオンを受けた経験がある患者は一定数にとどまっています(平成23年受療行動調査)。
受けること自体がゴールではありません。最初の医師の説明に納得できるか、あるいは別の視点を加えることで自分が納得できる選択肢を見つけるか——その過程に意義があります。
セカンドオピニオンと「転院」は別のこと
東京科学大学病院のセカンドオピニオン外来の案内によると、新たな検査や治療は行わず、相談後の治療は主治医(紹介元)に継続して頂くことを原則とするとされています。相談先の歯科医師が「意見を聞かせてくれる人」であり、そのまま転院を強制されるわけではありません。セカンドオピニオンを受けた後、元の歯科医師のもとへ戻り、得た情報をもとに改めて話し合う——この流れが本来の姿です。
歯科のセカンドオピニオン、どんな場面で考える?よくあるきっかけ
治療方針に疑問や不安を感じているとき
歯科でセカンドオピニオンの活用が特に多いのは、次のような場面です。
- 「歯を抜くしかない」と言われたが、本当に抜歯が必要か確認したい
- 根管治療(神経を取る処置)が必要と説明されたが、他に方法はないか知りたい
- インプラントを勧められたが、費用が高額なので慎重に判断したい
- 治療が長引いており、現在の方針で正しいのか疑問を感じている
- 矯正治療の抜歯が必要と言われたが、抜かない方法がないか聞きたい
歯ならびやかみ合わせが気になった場合、複数の医療機関に相談し、セカンドオピニオンを求めることも有効だと、日本歯科医師会も案内しています。大切な歯の問題だからこそ、治療開始前に複数の視点を参考にしたいと思うのは自然な判断です。
「抜かない・削らない」という視点を持つ意義
同じ症状でも、歯科医師によって治療の方向性が異なることがあります。たとえば、むし歯が進行している場合でも、抜歯を選ぶ医師がいれば、保存療法(歯を残す治療)に取り組む医師もいます。日本歯科医学会の歯科インプラント治療指針では、治療選択に際して患者へ現在の状態・複数の治療法・それぞれの利点と欠点・予知性・リスク・治療期間・費用等をわかりやすく説明し、インフォームド・コンセントを得ることが重要だと明記されています。
つまり、「別の選択肢はあるか」を医師に問うこと自体が、インフォームド・コンセント(十分な説明と同意)の一部です。当院でも、守尾院長の「抜かない・削らない」という基本方針のもと、症状の原因を特定し、歯の保存を最優先に考えた治療方針をご提案しています。
治療結果や経過に納得できないとき
すでに治療を受けていても、「なぜ治りが悪いのか」「このまま続けていいのか」という疑問が生じることがあります。日本歯科大学附属病院のセカンドオピニオン案内によれば、「診断・治療法に関する専門医としての意見提供」がセカンドオピニオンの目的であり、診療行為はおこなわず、あくまでも相談のみとなっています。治療の結果や主治医への不満そのものを訴える場ではなく、「今後どうするか」を一緒に考えるための場と捉えましょう。
受診前に準備したい3つのこと:持参資料・質問メモ・費用の目安
① 持参資料:診療情報提供書とレントゲンは必須
セカンドオピニオンを受ける際に最も重要な準備が、現在の主治医から資料を入手することです。日本歯科大学附属病院のセカンドオピニオン案内によれば、診療情報提供書やレントゲンフィルム等の検査資料の持参が求められています。
| 資料の種類 | 内容・用途 |
|---|---|
| 診療情報提供書(紹介状) | 現在の診断内容・治療経過の説明文書 |
| レントゲン写真・CT画像 | 歯や骨の状態を視覚的に確認するための資料 |
| 模型・口腔内写真 | 矯正相談などで現状を把握するのに有効 |
| 検査データ | 歯周病検査・血液検査など関連する数値 |
資料の作成には数日かかる場合があるため、余裕をもって主治医に依頼しましょう。なお、資料作成には数千円〜数万円の費用がかかる場合があります。詳細は主治医にご確認ください。
② 質問メモ:聞きたいことを事前に整理しておく
セカンドオピニオンの相談時間は30〜60分程度が多く、費用も発生します。その限られた時間を有効に使うためには、事前の準備が肝心です。次の点を紙に書き出してから臨みましょう。
- 今の治療について、何が不安・疑問なのか
- 別の治療法があれば知りたい点
- 費用・期間・リスクについて確認したいこと
- 転医するか否か、何を基準に判断したいか
当院でセカンドオピニオンをご希望の場合も、事前にお伝えいただきたいことや疑問点をご整理のうえお越しいただくと、より充実した時間にできます。
③ 費用の目安:全額自費診療、1回1〜3万円が一般的
セカンドオピニオンは、原則として健康保険が適用されない自費診療です。費用は医療機関によって異なりますが、おおよそ10,000〜15,000円程度/30分が目安とされています。大学病院など専門性の高い機関ではさらに高額になる場合もあります。日本歯科大学附属病院の場合、30分11,000円・60分22,000円・90分33,000円(健康保険適用外の自費負担)という設定で、完全予約制です。
| 受診先の種類 | 費用の目安(自費) | 特徴 |
|---|---|---|
| 一般歯科医院 | 5,000〜15,000円程度 | 予約が取りやすく身近 |
| 大学病院・専門外来 | 10,000〜30,000円程度 | 高度な専門性・設備が充実 |
| 矯正専門医院 | 10,000〜30,000円程度 | 矯正治療の詳細な見解が得やすい |
なお、当院では費用・手続き等についてお問い合わせの際に詳しくご説明しています。
セカンドオピニオンを受けるステップと、元の歯科医への伝え方
STEP 1:今の歯科医師にセカンドオピニオンを受けたい旨を伝える
まず現在の担当医にセカンドオピニオンを受けたい旨を伝え、紹介状および必要な資料を受け取ることがセカンドオピニオンの第一ステップです。
「先生を信頼していないわけではないが、自分なりに納得して治療を受けたいので、別の歯科医師の意見も聞いてみたい」——このような率直な伝え方が、関係をこじらせずに済む表現として多くの場面で使われています。良識ある歯科医師であれば、患者さんの意思を尊重してくれるはずです。セカンドオピニオンを受けることは、担当医との信頼関係を損なうものではありません。
STEP 2:資料を持参して相談先を受診する
資料が揃ったら、相談先の歯科医院に「セカンドオピニオンとして相談したい」と明確に伝えてから予約を入れます。当院では新心会グループとして総勢100名を超える歯科医師が在籍しており、インプラント・矯正・根管治療・セラミックなど各分野を専門的に担当する歯科医師がケースに応じて対応します(専門医資格取得者については院内でご確認ください)。また、CT・マイクロスコープ・光学スキャナー(iTero5D)などの機器を用いた診断に対応しており、「もう少し詳しく診てもらいたい」という方もお気軽にご相談ください。
STEP 3:得た意見を元の歯科医師に報告し、方針を決める
セカンドオピニオン後は必ず元の医療機関へ戻り、得た意見の内容を前医に報告することが大切です。セカンドオピニオン先の意見と元の担当医の意見を比較したうえで、ご自身が最も納得できる方向性を選ぶことが重要です。転医を希望する場合は、改めて紹介状を作成してもらい、正式な手続きを踏む流れになります。
まとめ
- セカンドオピニオンは患者の正当な権利です。 担当医への「不信感の表明」ではなく、自分が納得して治療を受けるための情報収集であり、自分の治療に納得して臨むための有効な手段です。
- よくあるきっかけは「抜歯・神経の処置・高額な自費治療の判断前」。 治療を始める前、または経過に疑問を感じたときに活用するのが効果的です。
- 持参資料は「診療情報提供書+レントゲン・CT」が基本。 資料の準備には数日かかるため、早めに主治医へ依頼しましょう。費用は全額自費で10,000〜30,000円程度が目安です。
- 元の歯科医師への伝え方は「納得して選択したい」という誠実な一言が効果的。 後ろめたさを感じる必要はなく、良質なインフォームド・コンセントのプロセスの一環です。
- 当院ではセカンドオピニオンに対応しています。 各分野を専門的に担当する歯科医師が在籍し、CT・マイクロスコープ等の機器で現状を把握したうえで、患者さんに合った意見をお伝えします。
治療方針に迷いがある方、JR八王子駅南口すぐの八王子I’S歯科・矯正歯科では、セカンドオピニオンのご相談を随時受け付けています。年中無休・平日夜20時まで診療しているので、お仕事帰りにも立ち寄りやすい環境です。「抜かない・削らない」を基本方針に、守尾院長をはじめ各分野を専門的に担当する歯科医師が患者さんお一人おひとりに向き合います。まずはお気軽にお問い合わせください。
はじめて受診される方は、初めての方へ(初診の流れ)もあわせてご覧ください。
参考文献
- 平成23年受療行動調査(確定数)の概況(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jyuryo/11/kakutei.html
- セカンドオピニオンについて|ご利用案内|日本歯科大学附属病院 https://www.tky.ndu.ac.jp/hospital/guidance/second_opinion/index.html
- セカンドオピニオン外来 – 東京科学大学病院 歯科(歯系診療部門)ホームページ https://www.tmd.ac.jp/dent_hospital/medical/second_opinion.html
- 日本歯科医師会「テーマパーク8020 矯正歯科」https://www.jda.or.jp/park/trouble/index08.html
- 厚生労働省「歯科インプラント治療指針(日本歯科医学会編)」https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/shika_hoken_jouhou/dl/01-01.pdf
