「自分の歯並びでもできるのかな」――マウスピース矯正を始める前に、多くの方が最初に気になるのは、ご自身の歯並びに適応があるかどうかではないでしょうか。写真や口コミだけでは自分のケースが当てはまるか判断しづらく、不安を抱えたまま相談を先延ばしにしてしまう方も少なくありません。ここでは、インビザライン認定医である尾崎桂三が、CT・iTeroを使った検査で何を確認しているのかを含め、適応の判断基準を具体的にお伝えします。
骨格の大きなズレや重度の叢生はマウスピース矯正が難しい場合があります

マウスピース矯正はすべての歯並びに対応できる治療法ではありません。歯を大きく移動させる必要がある症例や、顎の骨格そのものにズレがある症例では、ワイヤー矯正や外科矯正との併用が検討されることがあります。日本矯正歯科学会もアライナー型の矯正装置に関する臨床的研究は少なく、その安全性と有効性が科学的に高いレベルで明らかにされるには至っておらず、全ての症例を本装置のみで治せるということは考えにくいと述べています[1]。
抜歯が必要な症例は移動量が大きく適応外になりやすい
抜歯を伴う矯正では、抜いたスペースを埋めるために歯を大きく、かつ複雑に動かす必要があります。マウスピースは面で歯を押して移動させる仕組みのため、こうした大きな移動には限界があり、ワイヤー矯正の方が向いていると判断されることがあります。
顎変形症や骨格性の反対咬合は外科矯正の検討対象になります
上下の顎の大きさやバランスに骨格的なズレがある場合、歯だけを動かしても噛み合わせの根本的な改善が難しいことがあります。こうしたケースでは、外科的な処置を組み合わせた治療が選択肢として検討されます。当院ではインプラント・矯正・補綴それぞれに指導医が在籍する体制を整えており、必要に応じて専門的な視点から治療方針を検討します。
乳歯・混合歯列期は歯の萌出予測が難しく慎重な判断が必要です
乳歯と永久歯が混在する時期は、これから生えてくる歯の位置や顎の成長を正確に予測することが難しく、マウスピース単独での対応には慎重な判断が求められます。当院では成長期のお子さまには床矯正など、成長期の力を活かした小児矯正を選択肢としてご案内しています。
マウスピース矯正の交換時に感じる痛みについては、マウスピース矯正、交換したら痛い。その痛みいつまで続くの?でも詳しく解説しています。
CT撮影とiTeroスキャンで歯根や骨の状態を立体的に確認します

適応の判断は、見た目の歯並びだけでは行えません。歯根の傾きや骨の厚み、噛み合わせの立体的な関係を確認したうえで、初めて可否を判断できます。当院ではCTと光学スキャナーiTero5Dを用いて、精密な診断データを取得しています。
CTで歯根の傾きや骨の厚みを立体的に把握します
レントゲンだけでは歯根周囲の骨の厚みや、歯が骨のどの位置にあるかまでは正確に分かりません。CT撮影により歯根の向きや骨の厚みを三次元的に確認することで、無理な移動によって骨から歯根が出てしまうリスクを事前に把握できます。
iTeroの光学スキャンで歯列全体を精密にデータ化します
型取りの代わりに光学スキャナーで歯列をスキャンすることで、歯の形や隙間の状態を精密にデータ化できます。当院ではこのデータをもとに、治療のシミュレーションを行い、想定される歯の移動範囲をあらかじめ確認しています。
検査結果をもとに治療シミュレーションで移動量を確認します
CTとスキャンデータを組み合わせることで、どの歯をどの方向にどれだけ動かす必要があるかを事前にシミュレーションできます。日本矯正歯科学会のポジションステートメントでも矯正歯科治療が円滑に進むように、細やかな治療が受けられる歯科医院や装置を選択し、適正な矯正歯科治療を受けることが推奨されています[2]。移動量が大きすぎると判断された場合は、部分的にワイヤー矯正を併用する、あるいはセラミック治療で歯の形自体を整えるといった選択肢も含めてご相談いただけます。セラミックの詳細はセラミックの歯って割れることある?素材別の強度と割れる原因もご参照ください。
インビザライン認定医が噛み合わせや歯の動く範囲を基準に判断します

適応の可否は、噛み合わせの深さやズレの方向、歯を動かす際に必要な動きの種類によって細かく判断されます。当院ではインビザライン認定医の尾崎桂三が中心となり、こうした基準に沿って一人ひとりの症例を確認しています。
噛み合わせのズレ(開咬・過蓋咬合など)の程度を確認します
前歯が咬み合わない開咬や、上下の噛み合わせが深すぎる過蓋咬合は、歯を垂直方向に動かす必要があり、マウスピースだけでの改善が難しい場合があります。程度が軽度であれば適応となることもあるため、検査結果を見ながら段階的に判断します。
歯の回転や垂直方向の移動が必要な範囲を確認します
歯を歯茎の方向へ沈める、あるいは引き出すといった動きは、マウスピースだけでは実現が難しい場合があります。特に小臼歯のような円柱形の歯を大きく回転させる必要がある症例では、補助的な処置と組み合わせることで対応できるかどうかを検討します。
判断に迷う場合はセカンドオピニオンとしてご相談いただけます
他院でマウスピース矯正が難しいと言われた場合でも、検査データを見ながら別の視点で確認することで、選択肢が広がることもあります。当院はセカンドオピニオンに対応しており、患者様に合った歯科医師を選んでいただくことも可能です。日本矯正歯科学会はマウスピース型矯正装置による治療に関して不明な点があれば、かかりつけ歯科医等に相談することを推奨しています[2]。診断のプロセスに疑問がある場合は、遠慮なく相談することが大切です。
まとめ
- マウスピース矯正は抜歯症例や骨格性の不正咬合、乳歯・混合歯列期など、適応が限られる場合があります
- 日本矯正歯科学会も、すべての症例をマウスピースのみで治療できるとは考えにくいとしており、専門的な診断が欠かせません
- 当院ではCTと光学スキャナーiTero5Dを用いて、歯根・骨・噛み合わせを立体的に確認したうえで治療計画を検討します
- インビザライン認定医の尾崎桂三が、噛み合わせの深さや歯の動く方向まで踏まえて適応可否を判断します
- 他院で難しいと言われた症例でも、セカンドオピニオンとして改めて検査データを確認することができます
自分の歯並びがマウスピース矯正に合うか気になる方は、CTやiTeroによる精密検査を含む初診でご確認いただけます。八王子I’S歯科・矯正歯科はJR八王子駅南口すぐで、年中無休・平日は夜20時まで診療しており、お仕事や学業の合間にも通いやすい環境を整えています。まずは初めての方へ(初診の流れ)をご覧いただき、お気軽にご相談ください。
参考文献
[1] 公益社団法人日本矯正歯科学会「アライナー型矯正装置による治療指針 一般公開にあたって」jos.gr.jp
[2] 公益社団法人日本矯正歯科学会「ポジションステートメント マウスピース型矯正装置による治療に関する見解」jos.gr.jp
